アレルギーとは、免疫反応(外来の侵入者から身を守る目的で生体内で起こる反応)が特定の抗原に対して過剰に起きてしまうことで、過敏症とも呼ばれます。アレルギーが起こる原因は解明されていませんが、抗原に対する過剰な曝露・生活環境・遺伝などの可能性があります。アレルギーを引き起こす環境由来抗原を特にアレルゲンと呼び、花粉・ハウスダスト・ダニ・卵など様々なものがアレルゲンとなりえます。アレルゲン(たとえば花粉)は通常生活で曝露される量では無害であることが多く、本来排除不要な食物や花粉等に対する過剰な反応の結果もたらされる生体の傷害がアレルギーです。
アレルギー疾患とは外部からの抗原に対し免疫反応が起こる疾患のことで、代表的なアレルギー疾患には 花粉症、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎などがあり、近年増加傾向を認めております。

1、花粉症

『花粉症』とは、花粉の飛散時期に一致して症状がおこる季節性アレルギー疾患の一つです。植物の花粉が、鼻や目などの粘膜に接触することによって引き起こされ、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみが4大症状で、そのほか咳や痰・喉のイガイガ・顔のかゆみなども認めることもあります。『花粉症』の大部分はスギの花粉が原因であるため冬から春先にかけて症状がでます。季節別では春はスギのほかヒノキ・ハンノキ・シラカンバ、夏はイネ科のカモガヤ・ハルガヤ・オオアワガエリなど、秋はブタクサやヨモギなどの花粉が原因となります。
治療は抗原である花粉の回避が第一です。薬物治療としては、アレルギー促進物質であるヒスタミンが症状の出現に大きく関与しているため、抗ヒスタミン薬の内服や点鼻薬・点眼薬が中心となりますが、症状が強い場合はステロイド内服をすることもあります。

2、アレルギー性鼻炎

花粉症が特定の時期にアレルギー反応が出る季節性アレルギー疾患である一方、『アレルギー性鼻炎』は通年性アレルギー疾患の一つで、室内塵(ハウスダスト)・ダニ・ペットの毛・フケなど、1年を通して存在する抗原(アレルゲン)が原因となり、くしゃみ・鼻水・鼻づまりを来たすアレルギー疾患です。治療薬としてくしゃみ・鼻水には抗ヒスタミン薬、鼻づまりにはロイコトリエン受容体拮抗薬の内服や点鼻薬を用います。

3、蕁麻疹

『蕁麻疹』とは、皮膚の一部に膨疹と呼ばれる表面がツルツルし少し膨らんだ発疹が現れる病気です。食物や接触刺激をきっかけに発症するものもありますが、原因を特定できないケース(例えば寒冷刺激・入浴・運動・感染症・心身のストレスなど)も多いといわれています。『蕁麻疹』は多くの場合、数時間から数日中に軽快・消失する急性蕁麻疹ですが、中には何日にもわたって症状が出没し慢性的に経過する慢性蕁麻疹もあり、そのうち原因が特定できないものを慢性特発性蕁麻疹といいます。
『蕁麻疹』はアレルゲンに暴露すると、マスト細胞から遊離されたヒスタミンが血管および神経に働くことで症状が現れるため、治療薬としてヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミン薬または抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬が用いられます。
また、血圧低下や呼吸困難を伴うアナフィラキシーショックと呼ばれる非常に重度のアレルギーの初期症状として蕁麻疹が現れることもあります。アナフィラキシーショックは致命傷となる可能性もあるため、迅速な処置・対応が必要です。