呼吸器疾患には感染症(かぜ症候群・インフルエンザ・肺炎など)、アレルギー疾患(気管支喘息など)、腫瘍性疾患(肺がんなど)、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫など)、特発性間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群、過換気症候群などがあり多岐にわたります。

1、睡眠時無呼吸症候群

『睡眠時無呼吸症候群』とは、睡眠中に呼吸停止または低呼吸になる疾患です。大きく2つに分けられ、肥満や扁桃肥大による気道閉塞が原因の閉塞性睡眠時無呼吸症候群と心不全や脳梗塞に伴う中枢性睡眠時無呼吸症候群があります。閉塞性睡眠時無呼吸症候群では激しいいびきがみられますが、中枢性睡眠時無呼吸症候群では特徴的ないびきはみられず、無呼吸と頻呼吸を繰り返すチェインストークス呼吸を認めます。治療は閉塞性ならば(鼻マスク)、中枢性ならば夜間のみの在宅酸素療法が適応となります。

2、気管支喘息

『気管支喘息』とは慢性的な気道の炎症が背景にあり、種々の刺激が引き金(これをアレルゲンといいます)となり、気道粘膜のむくみや気道分泌物の亢進により気道の狭窄・閉塞が生じるアレルギー疾患です。気道狭窄によって、(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)、息切れ・咳・痰などの呼吸器症状を認めます。喘息発作時にはこれらの症状が激しく発現し、呼吸困難や低酸素からまれに致死的となることもあるので注意が必要です。治療はアレルゲン(アレルギーの原因)の特定と、気管支拡張薬・抗アレルギー薬・吸入ステロイド薬等を組み合わせ、長期管理が有効です。

3、慢性閉塞性肺疾患

『慢性閉塞性肺疾患』とはタバコの煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで肺胞の破壊や気道炎症による肺の慢性的な炎症性疾患で、緩徐進行性および不可逆的に息切れが生じます。確定診断にはスパイロメトリーといわれる呼吸機能検査で呼気(息を吐きだす)の能力を測定致します。喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病であるため治療は禁煙習慣を基本とし、気管支拡張薬やステロイドの投与や吸入を行い、必要に応じて在宅酸素療法の導入を検討します。