1. 検体検査

検体検査とは人体より採取されたもの(血液など)または人体から排出されたもの(尿・便など)から測定を行う検査です。

(1)血液検査

血液検査は、採血法によって得られた血液を利用して病状などを調べる検査です。血液を採取することで糖尿病、高血圧、高脂血症、高尿酸血症(痛風)、肝機能障害、腎機能障害、甲状腺機能障害、心不全などの診断や評価ができます。

★腫瘍マーカー
癌の進行とともに増加する生体内の物質のことで、主に血液中に遊離してくる物質を抗体を使用して検出する臨床検査のひとつです。多くの腫瘍マーカーは、健康人でも微量ではありますが血液中に存在します。腫瘍マーカー単独で癌の存在を診断できるものはPSA(前立腺癌のマーカー)など少数です。主に進行した癌の動態を把握するのに使われるもので、早期診断に使える検査法ではありません。
(2)尿検査
尿を採取することで糖尿病、膀胱炎、腎障害などの診断や1日の塩分摂取量測定(スポット尿のため推定量)ができます
(3)検便
検便は、排泄された大便を検査することで、消化管疾患の有無・寄生虫や細菌感染の有無を調べるために行なわれます。当院では主に消化管出血の有無を検索する便潜血検査を主にやっております。

★便潜血検査
便中の微量な血液の有無を調べる検査です。大量の出血がある場合には上部消化管出血によるタール便(海苔の佃煮様)、下部消化管出血による血便(鮮明な血液の存在)として肉眼で指摘できますが、微量の場合はこの検査によらないと判別できません。当院では感度を高めるために2日法(2日分の便をそれぞれ検査する)を勧めております。この検査で1回でも潜血反応陽性の場合、消化管の潰瘍・腫瘍(特に胃癌や大腸癌)・炎症性疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)などが存在する可能性があり、による精査を勧めております

※当院では内視鏡検査ができないため他院への紹介をさせていただいております

2.レントゲン検査

下記の診断や評価ができます
・胸部レントゲン:肺疾患(肺炎・肺がん・気胸)・心血管疾患(心不全や大動脈瘤)など
・腹部レントゲン:便秘・消化管穿孔・腸閉塞・尿路結石など
・骨粗鬆症の評価としての骨塩測定

3.心電図検査

心臓はいうなれば電気で動くポンプです。心臓の電気的な活動の様子を目に見えるようグラフの形に記録することで心疾患の診断や治療評価をすることができます下記に示しますように大きく3種類の検査があります。
①安静時12誘導心電図検査 
健康診断などで行われる一般的な心電図検査です。最も一般的な心電図で四肢に取り付ける肢誘導4本と、胸部に取り付ける胸部誘導6本から合計12種の波形を通常は10秒間ほど記録します。
②ホルター心電図検査 
胸部症状(動悸や胸痛など)やめまい・失神は危険な不整脈や狭心症心筋梗塞のような心臓疾患によるものかもしれません。このような症状を認めていても、外来受診時には症状がないことがあるため、安静時12誘導心電図検査では診断がつかないことが多々あります。
そのため装着型の携帯式心電計を用いて24時間にわたり心電図を記録することで、胸部症状の原因として各種不整脈や虚血性心疾患の有無を診断したり、各種心臓疾患に対する治療効果を評価することができます。また当院の検査機器は装着したまま入浴も可能です。
③イベント心電図検査 
24時間装着型のホルター心電図検査にても診断がつかない場合、持ち運びできる小型の携帯型心電計を1~2週間貸出しております。家庭や外出先で胸部症状などが現れた時に小型心電計を胸部へ当てて心電図を30秒間記録します。返却後に解析を行い不整脈の有無などを診断いたします。

4. 超音波検査

①頸動脈超音波検査
高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満症などの生活習慣病は血管に負担を与えることで動脈硬化が進行していきます。頸動脈は体表面近くを流れているため、動脈硬化の評価に最も適しています。動脈の内膜の状態を観察することで血管壁の厚さを測定し、プラーク(脂肪の老廃物)石灰化・血栓の有無を検索いたします。頸動脈の狭窄が疑われる場合は脳梗塞予防として抗血小板剤の内服を検討いたします。
②心臓超音波検査
2019年の厚生労働省からの報告では心臓疾患の総患者数は170万人を超え、年代別では、生活習慣病発症とともに50代半ば以上から本格的に増え始めます。健康診断などで胸部聴診にて心雑音を指摘され心臓弁膜症が疑われたり、心電図異常で虚血性心疾患が疑われた場合などに行う検査です。心臓のポンプ機能・心肥大の有無・弁膜症の程度の評価が可能です。
③腹部超音波検査 
腹部超音波検査では、主に肝臓・胆のう・腎臓・脾臓・膵臓のチェックを致します。胃や腸のような管腔臓器にはあまり適しておりませんが、病態に応じて施行することがあります。
※腹部超音波検査は観察可能な範囲が限られることがあります。高度肥満による内臓脂肪の多い例、胃腸のガスが多い例などは、超音波が標的臓器に到達できないため、評価が困難なことがあります。
④泌尿器(膀胱や前立腺)
超音波検査泌尿器超音波検査は下腹部に機器を当てて、主に膀胱や前立腺の観察を行います。膀胱超音波検査では腫瘍や結石の有無・排尿の状態などが、前立腺超音波検査では前立腺の大きさ・肥大の程度・前立腺がんの有無もある程度までわかります。

5. 脈波検査

ベッドの上で仰向けに寝ていただき両手首と両足首に血圧計のようなマンシェットを巻き圧迫致します。手と足の血圧の比較(ABI)や脈波の伝わり方(PWV)を調べることで、血管年齢(動脈硬化の程度)や下肢動脈の閉塞の有無の評価をすることができます。

6. 睡眠ポリグラフ検査

睡眠時無呼吸症候群とは睡眠時に呼吸が停止したり呼吸が弱くなったりする疾患です。自覚症状としては典型的な睡眠中のいびきや日中の眠気・倦怠感・呼吸苦またコントロール困難な高血圧や肥満症などを来すことがあります。また睡眠中の酸素欠乏は血栓症(心筋梗塞や脳梗塞)発症の大きなリスクとなることが知られております。
睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病や肥満症のみならず、心不全・心筋梗塞・脳梗塞例に合併することが知られております。また逆に睡眠時無呼吸症候群はこれらの疾患の増悪因子ともなるため、診断された場合はその睡眠障害のタイプに応じた治療の介入が勧められております。当院ではご自宅にて検査ができる睡眠ポリグラフ検査を行っております。簡便な検査装置を就寝中に装着することで睡眠時無呼吸症候群の有無の診断ができます。
※睡眠時無呼吸症候群のリスク評価が職業上必要な場合(運転業務など)も、この検査を随時行いますので、お気軽にお問合せください。

各検査費用